コロナ禍でみせた、売り上げNo.1会計ソフト弥生の底力とは?

2020年2月、新型コロナが拡大し始めた時期、いち早く給付金などの行政支援サービスについて特設ページをアップしたのが弥生株式会社。多くの事業者にとって何をどうすれば良いのかわからなかった矢先、必要と思われる情報が迅速にアップされていたことはとても心強いことでした。そして2021年、コロナ禍で新年度の確定申告を迎えようとしています。岡本社長に2020年当時の確定申告の対応を振り返ってお話いただきました。

弥生株式会社 代表取締役 岡本 浩一郎
弥生株式会社 代表取締役 岡本 浩一郎
1969年 神奈川県生まれ。
東京大学工学部を卒業後、野村総合研究所に入社。その間に社費留学でMBAを取得。ボストン コンサルティング グループを経て2000年、コンサルティング会社リアルソリューションズを起業。業務で弥生株式会社に携わったことから同社の魅力に惹かれ、自ら社長になることを決意、2008年4月代表取締役社長に就任。2017年2月にはアルトア株式会社を設立、代表取締役社長に就任(弥生株式会社 代表取締役社長と兼務)。日々の発見を「弥生社長の愚直な実践」として様々な話題を更新している。

緊急事態宣言下で行なわれた弥生の決断とは

―以前、御社のオウンドメディア「スモビバ!」でマーケティング部の皆様とお仕事をさせていただきました。その頃から高い熱量を感じていましたが、コロナ禍で特設Webページを一早くアップされているのを見た時には感動いたしました。

岡本 そうですね。お客様の目線で見ると、我々弥生のソフトというのは、あくまで道具であって、お客様はソフトが欲しいわけでもないんですね。お客様が本当に達成したいのは、業務の効率化や事業を継続させ成功させるということです。そのためには帳簿をつけなきゃいけない、確定申告もしなきゃいけないということで、あくまでソフトはその道具なんですね。その道具を提供した後はお客様の好きにしてください、というのでは我々の感覚としてはすごく不十分だと考えています。お客様にとって必要な情報はタイムリーに正確にお伝えする必要があると考えて、そのなかでWebの特設ページも立ち上がってきました。

あの頃はいろいろあって、2月の終わり頃、事業者もコロナ禍で混乱しているなか、確定申告がこのまま終わってしまうのはまずいんじゃないかと、同業他社にも呼びかけて国税庁に申告期限の延長を働きかけようとしました。結果的には、国税庁の主導で延期されましたが、持続化給付金がスタートすると、早くこの情報を事業者に伝えたいということで政府からの協力要請をいただきました。我々のWebサイトで情報を発信して、あとは、持続化給付金のコールセンターが繋がらないということなら我々のカスタマーセンターでもお問い合わせ対応しますよ、ということで相談窓口も設けました。

緊急事態宣言が発出されて我々のカスタマーセンターももうミッションインポッシブルに近いような話だったのですが(笑)、我々はお客様にとってインフラだという自覚があるので、求められているからやろうよ、ということで、実際、結構、お問い合わせをいただきました。

―コロナ禍で事業者にとって大変な年になりました。その中で年末調整、そしてまた確定申告シーズンを迎えます。今、どのような心境でしょうか?

弥生株式会社 代表取締役 岡本 浩一郎

岡本 そうですね。今年(2020年)の年末調整、それから来年の確定申告はこれまでと違って変化点が多く、平常時だったとしても大変にはなると思っています。それに加えて、新型コロナ禍がベースにありますから、この2つが組み合わさったら心配でしかたないです。しかし、心配してもしょうがないので、お客様に早めに情報を発信して、早めに備えていただこうと年末調整に関しては8月の終わりくらいから、こんな風に変わりますよ、と発信をしています。新型コロナ禍が拡大すればカスタマーセンターでのお問い合わせ対応能力が制約されてしまうのでそれを危惧しています。できるだけ早めに情報を提供することで、お客様がお問い合わせをしなくても業務ができる、お客様の問題が未然に解決できるというようにしようということで全力で対策を講じているところです。

弥生の提供するオンライン融資サービスとは?

―最近は、弥生のグループ会社でも融資サービスをやっています。今後、他に強化されるサービスなどがあれば教えてください。

岡本 正式名称は、アルトアオンライン融資サービスといって弥生の会計ソフトをご利用いただいている法人の方、個人事業主の方の両方が対象になります。これをなぜやっているかというと、お客様が本来やりたいこと、事業を継続したい、事業を成功させたいということを実現するためです。

弥生株式会社

我々も長年、お客様ご自身の事業の現況を正確にタイムリーに把握できるようにするという価値は提供してきました。しかし、お客様は現況を見ること自体をやりたいわけではなくて、やりたいことは運転を続けること、事業を続けることです。このままのペースで走ったらもうすぐ燃料切れになる、あるいはこの辺でペースを上げたほうが良い、などが見えた時にはそれに対する打ち手がお客様にとってはより重要です。それがこのオンライン融資サービスです。あくまで選択肢の一つですが、資金が必要になった時、日頃、利用している会計ソフトのデータをオンラインで提供いただければすぐに融資を受けられますので、利便性は高いと思います。

ゆりかごから引退、事業継承までを一貫してお手伝いしたい

我々にとって資金繰りは一つの大きな課題領域ですが、それだけではなく事業をされる方のゆりかごから引退までを一貫してお手伝いしたいと考えています。大多数の起業したい、独立したい、開業をしたいというような方は何をすれば良いのか、手続きはどうすれば良いのか、といったことは弥生にきていただければワンストップで情報が得られ、手続きもスムースに行えるようにしたい。そこから先には資金調達や、業務をいかに効率化するかなどがあります。しかし、高齢の経営者の方が増えている中で、弥生のお客様でも長年、事業をやってきていて、誰か継ぐ人がいたら渡したいというような方もいます。これはある意味、社会問題でもありますが、最終的なことをいえば、我々の方でもそういったお手伝いをできないかなと、考えています。

弥生株式会社
―それではこれから起業したいとか、すでに弥生ユーザーであるというような方に、何かメッセージがあればお願いします。

岡本 弥生はどんな会社ですか?と聞かれたときに、一般的な回答としては、業務ソフトベンダーです、となると思うのですが、我々は事業コンシェルジュを目指しています。お客様が事業を立ち上げて発展させる中でいろいろなお困りごとがありますね。それに対して弥生に聞けば何らかの解をえられるというようなそんな存在を目指していきたいです。事業コンシェルジュとして、まだまだ発展途上で出来ていないことも多いのですが、今日お話しした、新型コロナ禍で情報を発信していくとか、持続化給付金に関してもお問い合わせにお答えしていくとか、お客様のお困り、お悩みのことにどんどん対応していこうとしています。そういった意味で既にご利用の方、あるいはこれからどうしようかなという方に一番お伝えしたいのは、やはり「弥生に期待してほしい」ということですね。その期待は我々が前に進む原動力になっていきますので、弥生はここまでということではなくて「これはどう?これはどう?」といったような形でぜひ、期待のお声をいただきたいなと思います。

―本日は、お忙しい中、ありがとうございました。この後は、Q&Aにもお答えいただきます。

インタビュー
Q&A

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編集後記
1時間のインタビューを終えて、岡本社長の印象は冷静でスマート、それでいて話しやすく、“偏見のない眼差しで多くのことに答えを持っている紳士”という印象でした。インタビュー中、何度となくこちらの想定を超えた受け答えに舌を巻くこともあったけれど、Q&Aで見せる表情は実にチャーミング。社員とも気さくに話す岡本社長の姿に弥生の潜在能力を感じました。今後も岡本社長率いる「弥生」に注目したいと思います。