「漢方薬がコロナにも効く」そんな話を最近耳にします。
漢方内科では、風邪の初期症状に「葛根湯」を出すことが多く、むしろ定番中の定番ですが、中国の漢方医はコロナの初期症状には葛根湯を出すそうです。数日、寝て良くなれば万々歳で、抵抗力が弱く、葛根湯では十分ではなかった場合には、「清肺排毒湯」(せいはいはいどくとう)という構成製薬を処方するそうです。新型コロナウイルスといえども風邪の一つ。理にかなっているといえそうです。
2021年の4月になりますが、日本でも医療法人社団癒合会というグループのクリニックが、「漢方薬 「清肺排毒湯」の予防的投与の有効性を証明した最新論文を解説」と題してセミナー開催の案内がプレスリリースされました。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に期待される漢方薬」として最新の論文の発表会を行うとありました。論文の概要には、「清肺排毒湯は、標準的な薬物療法と併用することにより、新型コロナウイルスの軽度から重症患者の治療効果を大幅に高めることが分かっています。中国政府発信の新型コロナウイルス治療ガイドラインでも使用が推奨され、治療効果が検証されています。」と明記されていました。
その後、実際に服用した患者さんが何人いてどうなったか、気になるところですが、Googleで検索してみれば、漢方薬(葛根湯、清肺排毒湯)の効能の説明とともに、新型コロナ感染の初期に漢方薬を取り入れているクリニックが散見されました。
PCR検査をして陽性になったら、「自宅で悪化するまで寝ていなさい」「市販薬を飲んで様子をみて下さい」ではあまりにも心もとないことです。中国の論文研究でエビデンスがあるものを日本で使わないというのはあまりにも勿体なく非効率です。最近は、日本でも新型コロナの経口薬が開発されつつありますが、基本的には、体を温めて血の巡りをよくする、この最もベーシックな風邪の治し方に準じて、早めに漢方薬を処方されれば、まずは様子見にしても安心ではないでしょうか。
日本でも「悪化する前に何ができるか?」に主眼を置いた保険治療が適用可能であれば、これまでのような医療逼迫なども起こらず、新型コロナウイルスの悪影響も最小限に抑えることができたことでしょう。昨年の4月には、薬剤師が葛根湯を「コロナに効く」として販売した際に刑事告訴されましたが、少し混乱していると言わざるを得ません。
*新型コロナウイルス感染に対する漢方薬の効能につきましては、様々な論文が発表されています。
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